研究課題/領域番号 |
14350222
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
堀中 博道 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60137239)
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研究分担者 |
松中 敏行 アロカ(株), TP技術部, 技術部長(研究職)
和田 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (40240543)
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キーワード | 光断層画像 / 生体組織 / 近赤外線 / 超音波速度 / 医療診断 / 光散乱 / 超音波パルス / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
近赤外光をプローブとして生体の断層画像を計測すれば、生体物質の光吸収特性を利用することができ、生体の形態に関する情報だけでなく、代謝情報や病変部位に関する情報が得られるため、新しい医療診断の方法として期待されている。しかし、生体は光に対して強散乱体であり、現在までに実用的な光断層画像測定法は開発されていない。本研究では、光散乱の影響を受けない方法として、光吸収により生じる温度変化を超音波パルスの速度変化として検出する方法を提案し、測定装置を試作し、方式の有効性の実証と実用装置の開発のための実験を行った。 まず、寒天などを用いて以下の2種類の生体擬似試料を作製し、吸収分布を求める実験を行った。 1.吸収領域が組織境界を持つ試料:医療診断に用いられている超音波エコー装置と同様の構成で、一方向から超音波反射パルスを送信し、反射パルスとそれらの光照射によるパルスシフトから、境界間の光照射による温度変化を求め、吸収分布を得た。サーモカメラによる温度分布とよく一致していることを示した。 2.吸収領域が組織境界を持たない試料:装置の構成を一部変更し、直交する二方向から超音波パルスを送信し、試料背面からの反射パルスと光照射によるパルスシフトを測定した。これらのパルスシフトを投影データとし、重ね合わせ法によって試料の超音波速度画像を求め、吸収分布を得た。 次に、動物組織として成犬の胃を用い、内部に吸収物質を挿入して実験を行った。予め生体組織の分光特性を測定し、組織による吸収の少ない波長のレーザーを用いた。得られた超音波速度画像は、光照射による温度分布を反映しており、動物組織内の吸収分布を示していた。 以上の測定結果から、本方式が悪性腫瘍などの空間情報検出の新しい方法としての有効性が示され、実用装置を目指した装置構造、信号処理のための知見が得られた。
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