研究概要 |
本年度の研究では,以下の成果を収めた. 1.移動体のステアリング制御理論:Chainedシステムのクラスに対して区分的滑らかな切り替え制御則を発明することができた.この制御則では,物理的実現可能な制御入力(すなわち,連続かつ区分的滑らかな速度入力)ですべての状態の指数的収束を保証できる.しかも,移動空間が制約される問題にも応用できる.この成果は,当初の予想を遥かに越えるものである. 2.自動駐車システムの開発:上記理論を用いて,四輪車の自動駐車システムの開発に成功を収めた.この自動駐車システムを用いることによって,通常の駐車場に自動車を完全に自動的に車庫入れすることができ,また,運転者駐車用補助装置としても利用できる.この技術は,インテリジェント交通システム(ITS)における重要な要素技術として非常に役立つものである.その他に,運転者駐車補助装置として利用可能で,自動車の付加価値を高める技術としても将来的に利用価値が高い.現在,実用化に向けてさらに研究を進めている. 3.非線形アクチュエータ駆動システムの制御理論:非線形性の強い電磁アクチュエータに対して,まず平衡点における相対次数の解析を行い,Backstepping法を適用できるための条件を解明した.つぎに,電磁アクチュエータで駆動される(1自由度)メカニカルシステムに対して,Lyapunov安定理論に基づいて,動的出力フィードバック制御理論を発明できた.この方法は,システムの大域漸近安定性を保証できるものであり,制御構造上もきわめて簡単である.この理論的成果も予想を上回るものである.現在,多自由度磁気浮上システムへの拡張,実験による理論検証を進めている.
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