研究課題
基盤研究(B)
われわれは歩行障害を器質的な問題としてだけ扱うのではなく、環境と身体の相互作用における時間-空間的な運動パターンの創出の問題として捉えてきた。そして、制御する側とされる側を区別するマスタ・スレーブ形式に基づく従来の介助手法を問題とし、共創型歩行介助システムとしてのWalk-Mateを提案してきた。しかし、実際の歩行障害に対しては、まだ体系的な調査が実施されていないという問題が残されていた。そこで本研究では、Walk-Mateを歩行障害者に適用し、その介助やリハビリにおける有効性を調べることを目標とした。具体的には下記の2つの問題に取り組んだ。(1)高齢者用Walk-Mate構築旧型Walk-Mateは、高齢者に適したハードウェアにはなっていない。そこで、本研究では最初にWalk-Mateのウェアラブル化とユーザビリティの改善を進めた。(2)高齢者への有効性を評価上記システムを用いて高齢者の歩行障害への有効性調査を進めた。特に、歩行障害を人間とWalk-Mateから成るダイナミカルシステムの安定性の視点から評価した。その結果、本研究では計画どおり平成14年度に加速度センサーを活用したウェアラブルなWalk-Mate高齢者モデルを構築することに成功し、平成15年度にはそのWalk-Mateを用いて有効性を体系的に調査することに着手した。そして平成16年度には歩行障害をダイナミカル疾患と捉えることで、動的システムの概念に基づいて歩行障害の評価指標を作成した。具体的には、筋骨格系障害の一つである股関節障害について集中的にデータを取得し解析した。最終的には50人の患者に体系的調査を行ない、有効性を統計的に確認した。
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