研究概要 |
本研究の目的は、ネコのように低速である歩行と高速である走行(ギャロップなど)を自由に切り替えて移動することができるロボットを実現することにある.本研究のアプローチの特色と独創的な点は,複雑なロボットを数式モデル(運動方程式)で表現し、そのモデルを近似や単純化することはせず,そのかわり計算機パワーと計算ツールを使って短時間,小労力で計算しようという試みである.また、制御系設計においてもニューラルネットや神経振動子に代表されるようなヒューリスティックな手法を用いることを避け、解析的な手法を用いてできるだけ理論的に制御系設計を行う点である。制御系設計に使うのが提案してきた可変拘束制御というものであり、これは求められた数式モデルからさらにロボットの重心と角運動量を導き出し、それを微分方程式であらわした動物の走行パターンに一致させるように制御するものである.14年度ではワイヤ駆動型の4足ロボットと実験環境の製作と整備を行い,制御系設計のためのソフトウエアを開発した.このソフトウエアはMATLAB・Simulinkを用いて,自動モデリング・シミュレーション・モーション解析・実装などを行えるものである.また,「可変拘束制御による4足ロボットの走行制御方法」を提案し,この理論に基づいてトレッドミル上で走行実験を行った.2003年3月現在で,歩行・バウンス・トロット・ペースなどの運動を実現した.とくにバウンス走行は,移動速度0.9[m/sec]を達成した.これは実際のネコのトロットと同等の移動速度を実現したことを意味しており,本研究での有効性を示しているものと考えている.なお,これらの研究成果(実験データや実験映像)は、我々の研究プロジェクトのホームページ(http://www.runbot.jp)で公開している.
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