研究課題/領域番号 |
14350233
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
梅原 秀哲 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70151933)
|
研究分担者 |
島 弘 高知工科大学, 工学部, 教授 (00196461)
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80157122)
杉戸 真太 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (60115863)
岩本 政巳 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60232716)
|
キーワード | 地震動予測法 / 地盤震動解析 / 3次元非線形動的解析 / せん断耐力 / コンクリート橋 |
研究概要 |
阪神・淡路大震災を契機に、コンクリート構造物の耐震診断が数多く行われている。しかし、コンクリート構造物の地震による応答性状は、明らかに地震波形によって異なるため、その構造物の位置に生じた過去の地震を対象として解析を行い、構造物の耐震性を評価する必要がある。 本年度は昨年度に引き続き、名古屋市内のコンクリート橋数橋を対象として選定し、想定東海、想定東南海、およびそれらが連動する複合型東海地震による耐震性の検討を目的として、それぞれの橋梁の地点における強震動を算定した。断層モデルは、中央防災会議ならびに地震調査研究推進本部から発表されたアスペリティ分布を持つモデルとし、工学的基盤における地震動予測法EMPRならびに地盤震動解析法FDELによりシミュレーション地震動を算出した。さらに、三陸南地震や2003年十勝沖地震による基盤地震動ならびに地表地震動の算定も行った。このようにして得られた地表面での加速度波形をもとに、コンクリート橋脚の応答変位と応答せん断力を3次元非線形動的解析手法を用いて求めた。なお、3次元非線形動的解析に関して、鉄筋の横方向へのハラミだしのモデルの改善と、適用範囲を高強度鉄筋にまで拡張した。これを鉄筋コンクリート部材の動的応答非線形解析システムに組み込んで、部材の変位表示の靭性解析の精度向上を図った。また、コンクリート橋の橋脚のように、比較的せん断補強筋が少ない鉄筋コンクリート柱のせん断耐力に関するデータが不足していることから、これらの柱の載荷実験を行った。せん断補強筋が少ない場合にはせん断ひび割れの幅は大きくなるが、同時にせん断ずれも大きくなるために、トラス機構以外で負担するせん断力は低下せず、現行のVu=Vc+Vsの式が適用できることが明らかとなった。コンクリート橋脚の地震応答解析の結果、基盤面の地震動加速度が同じでも地盤条件によってはせん断破壊に至ることや、地震動加速度の卓越振動数や地震動減衰後の波形が構造物の挙動に影響を及ぼすことが明らかとなり、構造物の耐震性を評価する上で重要な要因となる知見が得られた。
|