研究分担者 |
杉山 隆文 群馬大学, 工学部, 助教授 (70261865)
小澤 一雅 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (80194546)
枝松 良道 住友大阪セメント(株), セメント・コンクリート研究所, 副主任研究員
市川 牧彦 太平洋セメント(株), 中央研究所, グループリーダー(研究職)
鶴田 滋 東京電力(株), 土木建築技術センター, グループ副長(研究職)
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研究概要 |
本研究は,資源を有効活用し持続可能な発展を目指す行為が,経済性の面においても有効となるような環境負荷の評価手法を開発することを目的とし,材料評価システムの構築と環境負荷評価手法の提案を2本の柱として実施した. 材料評価システムの構築に当たって,環境負荷の観点から検査を行う必要性があるのは,環境負荷要因の中でも重金属類を中心とした有害物質となる.そのため,産業廃棄物等から重金属類がコンクリートに含有する場合の溶出評価方法について検討を行った.その結果,現行の,試料を微粉砕するバッチ試験結果を準用してコンクリート構造物からの長期重金属溶出を予測することは困難であり,タンクリーチング試験における溶出傾向より硬化体内部における重金属の見掛けの拡散係数を推定し,解析的に長期溶出量を評価することが最も妥当性があるとの結論に至った.タンクリーチング試験を応用した長期溶出挙動の把握によって,有害物質の影響を材料評価システムに取り込むことは可能であると考えられる. 環境負荷評価そのものはLCA手法にのっとり,インベントリデータの整備ならびに運用方法を考慮した上での環境負荷評価手法の提案を行った.インベントリデータに関しては,エネルギー消費量,鉱物資源〔非金属・鉄〕消費量,エネルギー資源〔石炭・石油・天然ガス起源〕消費量,CO_2排出量,NOx排出量,SOx排出量,ばいじん排出量,廃棄物利用・発生量について,コンクリート構造物の材料製造・施工・解体・廃棄・再利用に関連する91項目を整備することができた.さらに,コンクリート構造物の環境に対する負荷の程度を環境性能と定義した上で,性能照査型設計手法に即した2種類の環境負荷評価手法を提案した.これらでは,異なる環境負荷要因の統合化を考慮し,また,評価にあたっては工事コストの影響を勘案することも可能としており,十分に実用化が可能な方法であると思われる.
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