研究概要 |
本研究においては,浅水域かつ複雑な海底地形を有する海域に超大型の弾性浮体構造物が設置され,これに不規則な非線形波が作用する場合における応答を精度よく予測できる数値シミュレーション手法を開発することを目的とした.まず,平面波浪場の解析プログラムの開発・コーディングから始めた.基本となるのはブジネスクモデルであり,海岸工学の分野ではかなり実績のある方法である.しかしながら,急峻な海底勾配を伴い,またリーフエッジでの海底面露出を含む極めて強い非線形性を精度良く計算するために,その差分計算過程にはかなりの工夫を要した。具体的には、オックスフォード大学のEatock Taylor教授の研究グループとの共同研究として,Borthwick講師の助言に基づき,海底面露出ならびに波のかけ上がりをも再現できる数値アルゴリズムを断面2次元問題に関してコーディングし、その性能確認後,3次元モデルへの拡張をおこなった。開発されたプログラムでは、波浪の斜面へのかけあがり現象の再現ができており、かなりの強非線形波へも適用可能なことが確認された。 これと平行して、波浪の非線形性を考慮した、周波数領域での計算プログラム開発をおこなった。具体的には、異なる2周波数を有する弱非線形波が入射する問題における、任意形状浮体に作用する回折波力の計算プログラムの開発をおこない、従来の文献での値と比較した。今後は、これをさらに高速多重極法アルゴリズムと併用するとで、超大型浮体の非線形波浪場内での波浪応答解析手法へと拡張する。
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