研究概要 |
1.歩道橋群集歩行振動のAMDによる制振効果の確認 対象歩道橋はイベント会場近くに立地しており,単独共振歩行のみならず,大きな歩行密度を有する群集が継続して通過するため,定常的に一定レベル以上の応答が生じ,利用者に不安・不快感を与える可能性がある.そこで,これらの単独共振および群集歩行外力のモデル化を検討するとともに,橋梁交通振動の低減化において有効であったアクティブ制御を適用し,振動応答の低減化を試みた.まず歩行外力モデルの検討として,現在までに提案されている,梶川の方法,小幡・林川の方法,Wheelerの方法,米田の方法の4種類について検討した.歩行状態での速度応答が最大になる時間および応答波形に基づき評価したところ,Wheelerモデルが最も実験結果を的確に表現することがわかった. 次に共振歩行・群集歩行に起因する振動応答に対する制振効果の確認を行なった.TMDは単独共振歩行に対しては効果的であるが,群集歩行時には共振成分以外の振動はあまり低減されず,振動恕限度による評価でも振動を感じることがわかった.アクティブ制御においては,最適レギュレータ理論,H∞制御およびファジィ制御を適用したが,すべての制御理論において振動低減率が高く,対象を歩道橋にした場合でも,その有用性を確認することができた.各制御理論の比較結果から,単独共振歩行に対しては,H∞制御が最も制振効率が良く,単独・群集歩行時の共振成分以外の様々な振動成分を低減できることが明らかとなった. 2.桁端補強の交通振動低減効果の確認 研究代表者が開発してきた三次元橋梁交通振動解析を用いて,桁端対傾構をコンクリートで巻き立てる補強により交通振動がどの程度低減するのか検討した.対象橋梁は合理化・省力化の観点から,近年導入されている鋼2主桁橋とし,桁端補強の有無また橋梁の構造形式の違いにより発生する振動を解析的に評価した.
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