研究概要 |
本年度の研究は,軸力,曲げ及びねじりの複合荷重を同時に受けるRC部材の耐震性能を把握し,その履歴復元力特性や相関関係を得ることを目的として引き続き行った.供試体は,一般的なRC橋脚をモデルとして,400×400×1600(mm)の模型供試体を制作した.昨年度までで、25体の実験を終了していたが、今年度は新たに5体を製作し、特に曲げとねじりの中間領域の実験を行って、これまでの実験で得られている相関曲線の精度を上げると共に、立体トラス理論と斜め曲げ理論の適用範囲・境界に関して探索を行った. 本研究の結果,以下の諸点が明らかとなった。 (1)主鉄筋ひずみから判断した境界と帯鉄筋降伏から判断した両理論の適用境界は大体同じとなった. (2)相関曲線における境界の方向は、初期軸力にはほとんど影響されないが、帯鉄筋間隔には大きく影響される. (3)帯鉄筋間隔が小さい時は、曲げが支配的な範囲(曲げ破壊が先行する範囲)が多く、帯鉄筋間隔が大きい時は、ねじりが支配的な範囲(ねじり破壊が先行する範囲)が多くなる。 (4)その他に、履歴曲線の詳細な検討によって、変位あるいはねじり角と、剛性低下率、減衰定数の増加、エネルギー吸収量の変化との関係を明らかにすることが出来た。
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