研究概要 |
昨年度に40cmx40cmの正方形断面の吹き出し口を有するACサーボモータ風洞が生成する変動気流特性を測定したが,本年度は同規格の風洞を新たに製作し,2本の風洞を気流の交差角が60度になるよう斜交配置し,2方向の気流を合成させて風速だけでなく風向も変動する気流の生成を試みた.さらに風向が非定常に変化する気流によって正方形角柱に作用する空気力の測定を行い,非定常性の影響を検討した.本年度の研究の概要と成果を以下に列挙する. (1)新たに製作した風洞について,昨年度と同様に風速分布,乱れ分布等の基本的な気流特性の測定実験を行い,既設の風洞と同等の気流が生成されていることを確認した. (2)60度の交差角で斜交配置した2つの風洞から同じ風速の気流を吹かせ,合成気流の風向が対称軸と一致している状態の気流の測定を行った.この配置では,2つの風洞中心線の交点は,それぞれの吹き出し口から46.2cm離れている.合成気流の平均風速は,2つの風洞気流の平均風速より低下し,逆に乱れ強さは増加する. (3)2つの風洞気流の風速を種々組み合わせ,合成気流の風向と風速を測定した.測定点は風洞中心線の交点とした.この実験結果より,2つの風洞気流と合成気流の風向風速の関係を表す実験式を作成した. (4)前項の実験式に基づいて,主流方向変動と主流直交方向変動がともにカルマンスペクトルに従う変動気流の合成を試みた. (5)風向が連続的に変化する気流を生成して正方形角柱に作用する空気力を測定し,定常風向気流による空気力と比較して風向の時間変化率が大きくなるほど定常風向の空気力との差が大きくなる事を確認した.
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