研究課題/領域番号 |
14350248
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澁谷 啓 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00206153)
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研究分担者 |
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00166109)
田中 泰雄 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (40144597)
川口 貴之 函館工業高等専門学校, 助手 (20310964)
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キーワード | 洪積粘土 / 変形 / セメンテーション / 土質試験 / 年代効果 / せん断強度 / 圧密 / 骨格構造 |
研究概要 |
大阪湾沿岸地域では,大規模埋め立てによる海底地盤とりわけ堆積年代の古い洪積層の長期間にわたる変形が重要な工学問題となっている。そこで本研究では、以下(1)〜(3)の段階的プロセスを経ることにより、大阪湾洪積粘土地盤の変形メカニズムを解明することを最終目的としている。 (1)年代効果による大阪湾洪積粘土の構造特性」の定量化 (2)変形特性のモデル化 (3)大規模埋め立てによる変形の時間依存性挙動の工学的予測法の確立 当該(H14)年度は、(1)を達成するために各種の室内土質実験を実施した。まず、200mにもおよぶ大深度の海底地盤から高品質の洪積粘土試料を採取した。つぎに、これら大深度試料の試験に耐えることのできる高圧三軸試験装置を新たに開発した。この試作装置を用いた一連の実験により、大阪湾洪積粘土は、約50万年前の古い堆積層にかかわらずその力学挙動は紛れもない「正規圧密粘土」であり、精度の高い標準圧密試験から測定した過圧密比は1.0に極めて近い事実が明らかとなった。したがって、沖積粘土よりも硬質で高強度であるの原因は、応力レベルの違いにより説明でき、これまでしばしば言われてきた「セメンテーション効果」は単なる幻想にすぎないことが判明した。さらに、各地層の力学特性の非一様性は小さい(即ち均質性が高い)ことも判った。これら数々の新知見は、来年度に予定されている大阪湾洪積粘土の変形挙動のモデル化((2))の足がかりになるものと期待される。また一連の成果は、地盤工学会の機関誌に公表している。
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