研究概要 |
平成14年度はの主な成果として,次の3事項が挙げられる.すなわち,(1)特徴の異なるベントナイト材料選定と基礎的な土質物性データの収集,(2)海水環境下での上記基礎的土質物性データの変化に関する調査,(3)茨城大学工学部都市システム工学科に既設置の「小口径供試体用膨潤特性試験装置」を用いた,各ベントナイトの膨潤圧特性に及ぼす水質の影響に関する実験的検討,である.(1)においては,国内において入手可能な13種類のベントナイトの基本的な物理化学特性(土粒子密度,液性・塑性限界,交換性陽イオン交換容量,交換性Na, Ca, K, Mg交換容量)を測定し,性質に差異が認められる5種類のベントナイト(Na型3種類,Ca型1種類,Na交換型1種類)を選定した.(2)においては,各ベントナイトの液性限界値・塑性限界値について蒸留水と人工海水の環境でその変化を実験的に調査し,水質の影響を受けにくいベントナイトの特徴を概観した.それによるとCa型のベントナイトは海水の影響を受けにくい. Na型ベントナイトの液性限界値についてはそれぞれ約80%低下しており,水質の影響を顕著に受けるものと考えれれる.塑性限界については,いずれも人工海水の影響をほとんど受けていないものと考えられる。液性限界と塑性限界に対する水質の影響の違いから,ベントナイトの膨潤特性に及ぼす水質の影響程度は,その締固め密度に依存することが予想される.(3)では,(1)で選定したベントナイトに対し,「小口径供試体用膨潤特性試験装置」を用いて膨潤圧特性について水質の影響を調査した.基本的には,いずれのベントナイトに対しても膨潤圧については水質の影響は小さいものと考えられる.特に締固め密度が高い場合には,水質の影響はほとんどないものと考えられる.この傾向は(2)の結果と整合しているものと思われる.
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