研究概要 |
平成15年度の主な成果として,次の3事項が挙げられる.すなわち,(1)茨城大学工学部都市システム工学科に既設置の「小口径(直径28mm)供試体用膨潤特性試験装置」を用いた,各ベントナイトの膨潤圧特性および膨潤変形特性に及ぼす水質の影響に関する総合評価,(2)茨城大学工学部都市システム工学科に平成15年度設置の「標準口径(直径60mm)供試体用膨潤特性試験装置」を用いた,各ベントナイトの膨潤圧特性に及ぼす供試体寸法の影響,(3)膨潤圧・膨潤変形特性とベントナイト供試体周辺水の水質分析結果との相関性である.(1)では,平成14年度の膨潤圧特性に及ぼす水質の影響評価に加え,平成15年度は一定鉛直圧下での膨潤変形特性に及ぼす水質の影響を調査した.その結果,鉛直圧が大きいほど,ベントナイト供試体の膨潤変形特性は水質の影響を受けにくくなる傾向が認められた.特に1000kPaの鉛直圧下での膨潤変形特性は,蒸留水と人工海水のいずれの環境でも,ほとんど差異は認められなかった.このことから,有効な自己シール性を発揮する拘束条件を1000kPaとしてベントナイト系緩衝材の仕様を設計した場合,その仕様は人工海水の環境でも適用できるものと考えられる.(2)では,ベントナイト系緩衝材の固有の物理量と考えられる膨潤圧・膨潤変形特性が供試体寸法の影響を受けるか否かを調査したもので,平成14年度の研究成果から課題として残った事項について検討したものである.その結果,膨潤圧・膨潤変形特性を調査する上で,供試体寸法の影響がほとんど無いことが分かり,「小口径(直径28mm)供試体用膨潤特性試験装置」による膨潤圧・膨潤変形の測定は妥当であることが明らかになった.(3)では,実験後に供試体周辺の水を採取しイオンクロマトによるNa,Ca,K,Mgの各陽イオン濃度を測定した結果から,ベントナイトの膨潤圧・膨潤変形特性との関係を整理した.その結果,供試体周辺水の陽イオン濃度が,特に膨潤変形特性に大きく影響を与えることなどが分かった.
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