研究分担者 |
田中 勉 神戸大学, 農学部, 教授 (20144602)
神谷 浩二 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50252119)
阿部 信晴 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10093361)
中屋 真司 信州大学, 工学部, 助教授 (70313830)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00183632)
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研究概要 |
本年度の主な研究実績は次のとおりである。 1)大阪市街地域の水収支と水循環形成過程を明らかにするために,降水と揚水・排水システムの量的特性を調査し,新たな水循環構想の中で地下水の利用が健全な水循環を導くことを示した。また,政府都市再生本部「都市再生プロジェクト(第3次)」(2002.12)の決定に基づき,都市における水循環過程の問題点を整理し,今後の対応策について検討した。 2)大阪市域を中心とする周辺都市域の観測井から得られる地下水情報を収集し,これらの情報をもとに大阪市域おける揚水量・地下水位・地盤沈下に関するデータベースを構築した。また,広域地下水涵養シミュレーション解析のための入力データを作成した。 3)大阪平野に分布する30箇所の井戸から採水した地下水の既存水質データに地球統計学手法を適用して大阪平野の,TP-50m以浅に分布する地下水の塩素イオン濃度と総陰イオン濃度の空間分布を推定し,大阪平野地下水の流動状態(滞留状態)や流動経路を評価した。 4)統計学的な「単純モデル手法」に基づいて,大阪市域の浅い沖積層と深い大阪層群砂礫層で観測された地下水位の長期変動に対して,揚水量,降水量および潮位のそれぞれの影響度を分析し,これらの要因と広域的な地下水涵養・流出関係を明らかにした。 5)地表地質調査・ボーリング調査・物理探査などによる第四紀層地質データにもとづいて,大阪平野地下水盆の3次元地質構造モデルを作成した。このモデルは,3次元FEM地下水流動シミュレーション解析の基本地下構造モデルとなるものであり,また,地下水観測結果の整理,各帯水層の水理物性の評価に活用できる。 6)大阪平野広域地下水涵養シミュレーション解析を実施した。解析は作成した3次元地質構造モデルを用いた3次元浸透有限要素解析であり,本年度の研究では、実績揚水条件等を与えた計算値が観測地下水位と整合するようにパラメータを同定する内挿検定を行った。 これらの研究実績に基づいて,次年度以降,健全な水循環を基本として持続可能な地下水環境保全と新たな水資源確保に係わる地下水の総合管理に資する広域地下水シミュレーションシステムを構築する。
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