研究分担者 |
泉 典洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10260530)
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50111258)
澤本 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90016519)
黒木 幹夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50002001)
内島 邦秀 北見工業大学, 工学部, 教授 (40003181)
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研究概要 |
本研究では,日本国内における主要な河川およびその沿岸域を対象として,流域から沿岸域までをカバーする広域土砂収支の評価を行っている.研究対象サイトは多岐にわたるため,ここでは,分担者が実施した研究のうち,代表的なもののみを紹介する.仙台海岸を対象とする1996年からの汀線測量データの検討の結果,同海岸における土砂収支を評価することが出来た.特に,沖に流出している土砂量,離岸堤群による沿岸漂砂の捕捉効果などを精度よく評価することが出来た.他の海岸においても,このような資料の蓄積が望まれる.また,石巻海岸に関しては海岸管理者により蓄積された深浅測量データの解析を実施し,ヘッドランド建設後の地形・漂砂移動機構の変化に関する検討を実施した.その結果,ヘッドランドの建設に伴い沿岸漂砂が捕捉され,ヘッドランド間の海浜に関しては安定化が進むことが確認された.しかし,ヘッドランド末端においては,漂砂量の低減が河口砂州の縮退を招き,深刻な問題を引き起こしていることが明らかになった.また,同様な問題を呈している河口として,相模川,大淀川,渡川などの存在が指摘された.このような河口部における複雑な土砂移動過程を明らかにするために,河口平衡条件を導出した.これによれば,平衡河口幅は2つの無次元数で表示されることが示された.この結果を日本国内の代表的な河川として,米代川,阿武隈川,阿賀野川,天神川,仁淀川に当てはめ,理論の妥当性を示した.このモデリングにより,これまで土砂移動過程の詳細の記述が困難であった河口部に関して,定量的な評価が可能になった.
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