研究課題/領域番号 |
14350265
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 一 京都大学, 防災研究所, 教授 (80144393)
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研究分担者 |
澤田 豊明 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60027258)
石垣 泰輔 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70144392)
里深 好文 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20215875)
武藤 裕則 京都大学, 防災研究所, 助手 (40263157)
馬場 康之 京都大学, 防災研究所, 助手 (30283675)
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キーワード | 流域一貫の土砂管理 / 格子型砂防ダム / 土石流 / 水制 / 地形変動 / 土砂生産 / 河道変動 / 伝統的河川工法 |
研究概要 |
流域一貫の土砂管理を実施するには、適度な量の土砂と多様な粒径の土砂を下流に流すことがまず重要である。砂防ダムにおいては下流に対して有害な土砂を拝止し、それ以外の土砂は下流に流すような機能を有する格子型砂防ダムやスリット型の砂防ダムなど、オープンタイプの砂防ダムが有効である。そこで、本研究では土石流に含まれる大粒径の土砂によって格子型砂防ダムの開口部が閉塞する現象を考慮した1次元河床変動モデルを構築し、格子間隔や洪水規模の違いが砂防ダムの土砂調節効果に及ぼす影響について検討した。その結果、従来から水理模型実験を通して提案されてきた開口部の幅を安全側を見て最大粒径の1.5倍程度とすることの妥当性が数値解析モデルにより明らかにされた。また、流域土砂管理においては土砂生産の実態を時系列的に解明し、土砂生産の量と質を知ることが重要である。そこで、土砂生産の観測を実施し、豪雨での崩壊等による土砂生産が卓越しないような通常時では、凍結・融解によって土砂生産場の状態が土砂生産に大きな影響を及ぼし、降雨量とは相関が高くないことが明らかにされた。砂防ダムのみならず貯水池堆砂土砂の有効な排砂法の確立することも土砂管理を実施するうえで重要となる。そこで、水圧吸引土砂排除システムを考案し、排砂模型実験を実施してその有効性を示すとともに、水理モデルを構築し、排砂機能の評価を行った。この考え方を用いた排砂管の設計法についても示すとともに、実際のダム貯水池での排砂実験を行って本システムの有効性を明らかにした。一方、水理構造物周辺の地形変動については、非構造格子を用いた有限体積法による移動床流れの3次元解析モデルを構築し、本モデルを用いた数値解析により、ワンド群が存在する場での水理模型実験結果をよく再現できることが分かった。さらに、災害時の河道変動の分析や伝統的河川工法の機能評価についても成果をあげている。
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