研究分担者 |
樫山 和男 中央大学, 理工学部, 教授 (10194721)
平野 廣和 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80256023)
藤吉 康志 北海道大学, 工学部, 教授 (40142749)
太田 幸雄 北海道大学, 工学部, 教授 (00100058)
FUJITA Mutsuhiro Hokkaido University, Faculty of Engineering, Professor (80001139)
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研究概要 |
鉱山内の立坑を用い,雲及び降雨形成に関する微物理過程の解明を目的とした実スケール雲物理実験を行った.この実験は,立坑坑頂に設置した大型ファンにより空気塊を吸い上げ,坑内に上昇流を人工的に発生させ雲を生成させる.また,坑底で溶液噴霧を行うことにより,立坑内に流入するエアロゾル(大気浮遊粒子)の化学組成,溶質濃度,数濃度を制御することができる.この実験により得られた気象因子の高度変化,水蒸気から雲粒子へ相変化時の大気条件の変化等の基礎データ及び結果を,新しく開発している大気中のエアロゾルの効果を取り入れた降雨シミュレーションモデルの結果と比較を行った. 以下に,研究期間内より得られた結果を示す. 1,立坑内への流入大気の条件(エアロゾル数濃度,上昇風速)を制御した実験により, (1)エアロゾル数濃度の鉛直分布を計測し,雲底付近の急激な数濃度の増加及び立坑内を上昇するのに従い雲粒子へ成長していく様子を観測した. (2)坑内に溶液を噴霧することにより,坑頂において小粒径のエアロゾル数濃度が増加し大粒径の粒子の減少が見られた. (3)噴霧エアロゾル数濃度を高くするにつれて,生成される雲水量も増加するが,高濃度となると生成される雲水量は一定値となっていくことが観測された. (4)生成される雲水量は上昇風速が大きいほど多く,その関係は,ほぼ線形関係にあることがわかった. 2,立坑内の気温の鉛直分布は,雲発生前後で異なることを観測した.さらに,雲発生時における雲底以上の高度において,立坑内の気温減率が,湿潤断熱減率よりも小さい値であった.この結果は,既存のモデルでは再現されなかったが,新しく開発しているエアロゾルの影響を取り入れた降雨シミュレーションモデルによって再現された.
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