研究概要 |
港湾を整備した場合の便益の計測モデルの構築,国際コンテナ流動量把握,海運ネットワークの予測モデルの構築を予定通り並行して行ってきた. 便益計測モデルに関しては,逐次積み上げモデル,部分均衡モデル,一般均衡モデルの3種類を比較検討した.境界,考慮するタイムスパンの設定等を検討し,モデルの特徴を整理するとともに,架空の状況に対して各モデルを適用し,モデルによりどの程度の差が生じるのかを確認した結果,一般均衡モデルが最良であるという結論に至った.経済状況として不況などを考慮することは困難であるが,港湾整備の便益は非常に長期に渡って発生するため,短期的なことを無視することも許容されるものと考えた. 国際コンテナ流動量把握に関しては,研究の前提となる現在のコンテナ流動量の把握を行った.港湾関連統計およびコンテナ流動関連統計を整理することにより,日本発着貨物の流動を把握した.さらに外国の港湾間の流動に関しては,貿易統計,港湾関連統計,その他社会経済統計をもとに,推計を行った. 海運ネットワークの予測モデルに関しては,運賃推計および配船行動をそれぞれモデル化することにより,船社の行動を表現した.運賃推計モデルに関してはコストと競争状態によってある程度は表現できたものの,統計的には有意でなかった.各種ダミー変数を導入することにより統計的な有意性を確保した.配船行動モデルはモデルの簡単化のため,グローバル配船モデルと地域配船モデルの2段階モデルとした.制約条件としては,船形や母港に関するもののみでなく,ウィークリーサービスの実施に関しても考慮した結果,比較的再現性の高いモデルが構築できた.
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