研究分担者 |
小池 淳司 鳥取大学, 工学部, 助教授 (60262747)
横松 宗太 鳥取大学, 工学部, 助手 (60335502)
谷本 圭志 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20304199)
中村 文彦 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (70217892)
福山 敬 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30273882)
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研究概要 |
平成14年に実施された路線バス事業の規制緩和の精神は,「地域の生活交通は地域自身で確保する」ことにあるが,どうすれば住民の利用を喚起でき,ひいては交通サービスの維持に繋がるかについては特段の方法論がない.そこで本研究は,住民の視点に立ち,彼らによる生活交通サービスの自己調達のための支援ツールを提案することを目的として実施した. 具体的には,「調達しようとする生活交通サービスが住民の交通ニーズをどれだけ充足するか」を評価する方法として,路線バスや相乗りタクシーといった代替的なサービスの選択を考慮に入れうるモデルを開発した.次いで,このモデルを核に,バスを利用して行い得る活動の水準からバスサービスの利便性を評価する「対話型ソフトウェアモデル」を構築し,これをもとに、住民が自分たちの手でもっとも望ましいバスサービスを見出すための手順を「集団選択支援システム」として取りまとめた.現時点ではまだプロトタイプの段階であるが,対象地域を選定した上で実際に住民によるサービスの水準評価の模擬実験を行い,評価法の問題点を洗い出し改良を加えるとともに,自己調達に必要となるサブシステムを明らかにした.また,個々人の間に生じる利害を調整しうるかについても調査し,住民による自己調達の可能性と限界についても検討した.さらに,交通事業者がサービスの運行採算性や運行形態を決定するに際して,住民からどのような情報を収集しておく必要があるのか,またそれを解析するための道具立てが確立されているかをヒアリングにより明らかにし,住民による自己調達の受け皿を整えるために必要となる環境づくりの方向性について整理した. これらの成果により,最終年度には,新たなサービス確保の手段を実現するための環境づくりや自治体の新たな役割等を含めたツールを提案できるものと考えている.
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