日新小学校、新栄小学校および昭栄中学校で実施した子供達に対するアンケート調査から、ほとんどの子供達が車の脅威を感じていること、35%の子供が事故に遭ったことがある、あるいは事故に遭いそうになったと答えており、本対象地区が子供達にとって極めて危険な地区であることが明らかになった。危険と感じる原因としては、交通量が多い、見通しが悪い、自動車の速度が速いなどが挙げられており、安全性を確保するためには、交通量の削減と走行速度の抑制が必要なことが明確になった。 しかし、どのような交通をターゲットにして交通量を削減すればよいかを明らかにするために、ナンバープレート調査を実施した。その結果、朝のピーク時だけでなく、終日を通して通過交通が多く、全交通量の約25%を占めることが分かった。また、通過の経路はバラエティーに富んでいるが、日新小学校と昭栄中学校周辺に通過経路と通過交通量が集中しており、子供達が指摘している危険個所と合致していることが分かる。通過交通を排除することができれば、交通量を削減することができ、安全性の向上につながる。また、交通実態調査から5割以上の車が30km/hの制限速度を超えて走行しており、速度制限ならびハンプ等の速度抑制装置の設置が必要なことが明らかになった。 また、歩行者がすれ違う自動車に対してどの程度危険を感じるかを評価するために、25人の被験者に心拍数記録装置を携帯してもらい、すれ違い時の危険回避行動及び心拍数の変動を観測した。一人の被験者が複数の自動車とすれ違ったために、自動車による刺激とその応答である心拍数の変動特性や危険回避行動の発生が一対一に対応しないケースがあり、必ずしも期待した結果が得られなかった。次年度、すれ違いの状況をできるだけ制御しながら、同様の実験を実施する予定である。
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