本年度は、現実の事業と合意形成場面を重視した視点から、必要なCG画像の精度とデータ構造を検討し、それをもとに電子住宅地図からのデータ取得を行って、地理データベースを構築した。 1.景観設計・合意形成に必要な画像の種類・視点・縮尺、及びデータ精度の検討: 計画実務者へのヒアリング、事業権利者への協力を得て、計画策定時に必要十分なCG画像のレベルを同定した。対象とした項目は、背景画像のあり方等画像の種類、視点位置、縮尺、データ精度である。 2.CGソフトウェアにおけるデータモデルの検討: 地理情報システムからのデータ取得を前提として、CG画像の作成に必要な要素と精度をもち、かつ計画代替案の変更作業に適した機能をもつデータベースのデータ形式や構成の検討を行つた。特に、CG作成に有利でありしかも情報システム側の性能を阻害しないデータ構造(データモデル)について検討を加えた。地理情報システムでは3次元データを予定していない形式が多いが、この中でKIWIと名付けられた時空間データベース構造が、CGシステムとのデータ連携に適するとの知見を得た。 3.データベースの構築: 2で検討したKIWI形式により、CD-ROM住宅地図を有効に活用し、大阪市域の3地区を対象に地理データベースを構築する。そしてこれを用いて、実際にCG画像を作成して、その有用性を確認した。具体的には従来手法でCG画像を作成する場合との比較分析を、画像の質や作成労力等を評価基準として行った。なお、このデータ構造は高圧縮のため、都市情報システムの性能を阻害しないことも確認された。
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