都市整備事業における住民合意形成に寄与する目的に特化した3次元CG呈示システムを開発し、住民の操作実験によりその有用性を検証することが、本研究の目的である。今年度は、計画実務者が実際に使用可能な、マンマシンインターフェイスに優れたCGシステムの開発を行った。開発したCGシステムの従来システムに比しての優位性の観点からみた主要な研究成果は以下の通りである。 (1)説明会の会場に搬入可能な機器・データのポータビリティを保つことができた。これは、(3)に関連してノートパソコンでも実用的な速度で描画可能となるようアルゴリズムを検討した成果である。 (2)行政担当者や住民自身が簡便に操作できるような優れたマンマシンインターフェイスについて詳細な検討を行った。具体的には、街路幅、植栽、素材の変更など典型的な変更要求・代替案作成要求を想定して、これらに対してはタッチパネル上の指先の動きにより簡便な操作で対応可能とした。操作実験による実運用性の検証は来年度の課題であるが、実験に耐え得るインターフェイスの作成が行えたと考えている。 (3)議論しながら即時に変更案を示すことができるよう、CG画像のリアルタイムな作成性能を向上させた。精度や物体数に依存するが、テスト画像では、実用性があると思われる数秒以内の再描画を可能とした。 なお、今年度は当初の研究計画を変更し、2度にわたりトルコを訪問し、震災被害を受けた自治体における復興局面でのCGおよびGISの利用可能性に関する調査・研究を行った。当地では復興プランの合意形成が図られており、開発するCGシステムの実証に適した局面であると判断したためである。これは来年度予定している操作実験の先取りでもあり、さらにトルコ人の操作にも耐え得ることは一般性・汎用性の実証となる。
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