研究分担者 |
木村 一裕 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (60177912)
前川 佳史 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・介護・生活基盤研究グループ, 研究助手 (50260302)
北川 博巳 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・介護・生活基盤研究グループ, 研究員 (10257967)
目黒 力 群馬パース学園短期大学, 講師
西田 泰 警視庁科学警察研究所, 室長 (10356222)
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研究概要 |
本研究は道路・公共施設ユーザーとして,高齢者を対象とし,高齢ドライバーから高齢歩行者までを包含した形でドライバー・歩行者の特性を考慮した様々な情報提示を設定することを目的としている.そのため実験および各種調査を実施し,今後高齢者が安全で安心して移動できる環境づくりについて研究を行う.今年度は高齢ドライバーを考慮した道路上での運転挙動計測実験とアンケート調査を行った.その知見として,(1)アンケート調査から高齢ドライバーが運転中に気になる項目として,他車両の幅寄せや対向車のライトが特に気になる傾向にあり,夜間の場合の標識の見易さや広幅員道路の掲示位置などの示唆を与えてくれた. (2)昨年度実施した実験結果を分析したところ,高齢ドライバーは左側位置の視認が若年ドライバーよりも遅く,とくに動くものに関してはかなりの遅れが生じることが判明した.また,被験者の中には若干脳機能に衰えのある被験者がいたことから,このような高齢ドライバーはかなり内在しているものと考えられる. (3)歩行環境については高齢者の利用が著しく増加している電動車いすの行動特性を知ることが出来た.とくに,電動車いすの利用で高齢者のモビリティは2〜3kmに伸び,彼らの安全性の確保と案内システムなどの重要性が判明した.同様に痴呆性高齢者に対するアンケート調査でも,歩車分離や明確な歩行者横断信号には危険が多く内在しており,場所によっては彼らの対策の必要性も判明した. (4)今年度は運転記録データを用いた高齢ドライバーの運転挙動に関する実験を実施した.今年度は実験のセッティングおよび実験のフィールド作りが主となったため,実際の高齢ドライバーを対象にした実験を来年度に実施し,危険箇所や危険挙動を分析しながら高齢ドライバーにとって適切な標識・サインのあり方に関する考察を予定している. (5)来年度は今年度実施した実験結果を実際の高齢ドライバーを対象にした運転記録から標識・サインのあり方を検討すること,およびこれまで高齢歩行者を対象にしたアンケート調査を分析することで歩行環境における標識・サインの方向性を考察することを予定している.
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