研究課題/領域番号 |
14350283
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
味埜 俊 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60166098)
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研究分担者 |
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30312979)
古米 弘明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40173546)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 活性汚泥 / 嫌気好気法 / 生物学的リン除去 / 16S-rDNA / DGGE / FISH / ポリリン酸蓄積細菌 / Rhodocyclus近縁種 |
研究概要 |
生物学的リン除去活性汚泥法に関する基礎研究は、分子生物学的手法などの新しい微生物群集解析手法の発展により、長い不毛の時期を経て画期的なブレイクスルーを迎えつつある。本研究は、16S-rDNAアプローチを複合的に用いて、リン除去を担う活性汚泥の微生物群集構造およびその機能を遺伝子レベルで明らかにすることを目的におこなった。本研究では、酢酸・グルタミン酸・プロピオン酸・グルコース・ペプトンをそれぞれ主要炭素源とする嫌気好気式生物学的リン除去リアクターを実験室内で運転し、リン除去活性が発現してゆく過程をバッチ実験で、真性細菌全体の群集構造変化を16S-rDNAを用いたDGGE法により追跡した。両者を比較することで、リン除去を担う微生物のスクリーニングが可能となる。さらに、クローニング法により16S-rDNA配列の全長を決定して、スクリーニングした微生物を特異的に検出する遺伝子プローブを設計し、ポリリン酸染色法と組み合わせることで、ターゲット微生物のリン蓄積能をin situで確認した。 解析の結果、ペプトンを主要基質とした系で、グラム陽性高(G+C)DNA含有細菌が実際にリンを蓄積しているのが確かめられ、すでにリン蓄積細菌候補として有力視されているRhodocyclus近縁菌に続いて、新たなリン蓄積細菌候補を検出することに成功した。また、リン蓄積をしていながら、Rhodocyclus近縁菌でも、グラム陽性高(G+C)DNA含有細菌でもないものも観察されたことから、未知のリン蓄積細菌がさらに存在することも示唆された。同時に、TM7に属する細菌、Chlorofexi属に属する細菌など、直接リン蓄積はしないものの、リン蓄積菌と同時に活発に働く微生物も明らかにした。これらの解析により、複数のリン蓄積菌の働きによってリン除去が実現しているという、リン除去メカニズムの全体像が明らかとなった。
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