塩素消毒にともなって生成する副生成物は数多く知られているが、本研究では、MXを集中的にとりあげる。最終的な研究目的は、配水過程におけるMXの指標としての妥当性と限界を明示することであり、この目的を達成するため以下を主たる検討内容とした。 (1)塩素処理水中でのMXの濃度変化を調べ定量化すること。 (2)塩素処理にともなってMXの有害性がいかに変化するかを調べること。 (3)琵琶湖水のバイオアッセイ結果とMXの挙動との関係を調べること。 得られた結果を示す。 1.塩素処理水中でのMXの変化特性を調べ、MXが塩素と反応し濃度が変化する過程を定量的に把握し、毒性の変化との対応を考察可能にした。ここでは新規にプログラマブル温度気化(PTV)注入法を導入し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)によるMXの測定法を確立した。 2.塩素処理にともなうMXの有害性の変化を調べた。すなわち、MXに塩素添加した後の染色体異常誘発性、二段階形質転換誘発性、非二段階形質転換誘発性の変化を測定し、MXの濃度変化との関係を把握した。 3.琵琶湖水のアッセイ結果は、MXの濃度変化とよく対応していることを示した。これより、MXが指標として妥当な物質であること示唆することに成功した。
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