研究分担者 |
宮脇 健太郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (00289521)
大嶺 聖 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60248474)
安福 規之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20166523)
佐藤 健一 福岡大学, 工学部, 助教授 (20235336)
中山 裕文 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60325511)
|
研究概要 |
1.種々の環境下における焼却灰の安定化の把握 湿度,温度,雰囲気のガス組成が異なる環境下,および自然環境下における焼却灰の化学的,鉱物学的な安定化メカニズムを検討した。特に,有害重金属の不溶化に影響がある炭酸ガスについては,焼却灰充填カラムを用いた炭酸ガス通気実験から,炭酸ガス濃度5%〜15%では濃度を低くした方が重金属(特に鉛)の不溶化がより進行していた。しかし,焼却灰中の重金属含有量は非常に小さいため,XRD分析による化合物の同定は困難であったことから,化学平衡計算モデルによって安定化過程を推定した。 2.焼却対象廃棄物の組成変化が焼却残渣性状に与える影響 焼却灰粒子にはガラス,金属類等が粒子内部に核として存在し,周囲を微細粒子が取巻くという特異的な構造を有していたことから,核となり得るガラス,金属類等の不燃物の混入割合や,溶融物等の生成程度が,焼却灰粒子の強度に大きな影響を及ぼすことが示唆された。また,焼却灰粒子を核の有無,核の種類により8種類に分類すると,溶融物を核とする粒子が全体の約50%,不燃物を核とする粒子が全体の約20%を占めていた。次に,焼却灰粒子の単粒子強度試験結果から,最大のピーク荷重を示す前に,小さな荷重のピークを数回繰り返す現象が確認された。したがって,焼却灰粒子の核の有無,および核の分類,すなわちリサイクルの促進による焼却対象廃棄物の組成変化が,地盤強度に大きく影響することが示された。 3.焼却灰溶液の保持形態と溶出機構に関する研究 湿潤状態の焼却灰に遠心力を作用させた場合,焼却灰粒子の細孔隙径65μm以上(G=300g)の部分から水溶性鉛の約70%が,細孔隙径20μm以上(G=1,000g)の部分から水溶性鉛の約90%が得られた。したがって焼却灰中に存在する水溶性鉛は,そのほとんどが粒子表面に存在する焼却灰溶液に含有していたものであると考えられた。また,焼却灰中の鉛は,逐次抽出法より,大部分が炭酸塩態と5段階の逐次抽出で抽出できなかった難溶性の残留物で構成されていた。
|