研究概要 |
1673年に創建された岩国錦帯橋は,1953年に架け替えた後1967年に橋版の張替えを行ったのみで、5橋そろって50年近く架け替えが行われていなかった.2001年の第3橋の架け替え工事に引き続いて,第4,5橋の架け替え工事が,2002年12月に実施されたが,それに伴って,現地強度実験を行った.現地実験は大きく次の5つに分けられる.1.錦帯橋端部の橋脚接合部の回転剛性を測定する.2.欄干の上下動の剛性への寄与度を計測する.3.洪水時,地震時の挙動を想定した水平方向の構造特性を把握する.4.温度,湿度の変化と錦帯橋の変形との相関関係を調べる.(2日間)5.錦帯橋の経年変化による形状の変化を測定する.このほか,錦帯橋の桁の動的挙動を把握するために,第3橋から切り出した実物を含めた,部分実験を行った. これらの実験から,錦帯橋端部の橋脚接合部の回転剛性は小さく,固定端と評価することはできない.欄干の上下動に対する剛性への寄与は小さい.第5橋において,水平荷重に対しては,橋版による水平剛性だけでは不十分で,柱間に打ち付けられた筋交いが有効に機能している.2日間の温度変化10度程度では,橋の形状に大きな変化はみられない.竣工後1年経過した第3橋では,スパン中央部で20mm以上下がったことが確認された.動的部分実験より,ダボ,鞍木,助木といった部材の剛性が高く桁の抵抗要素の大部分を占めるが,変形量,加力速度によってその剛性は大きく変化する.などがわかった.これらのデータをもとに,錦帯橋全体のモデル化をはかり,2001年度に行われた分布載荷実験,集中荷重実験時の橋の挙動をおうことができた.
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