研究分担者 |
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10111981)
荒木 時彦 京都大学, 防災研究所, 助手 (60335221)
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00190570)
西村 宏昭 , 財団法人・日本建築総合試験所, 室長
奥田 泰雄 独立行政法人建築研究所, 上席研究員 (70201994)
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研究概要 |
潮岬風力実験所及び境界層風洞において以下の観測を実施した。 1.高層建築物模型の壁面で180点の同時風圧観測と超音波風速計での風速観測を実施した。 2.屋根風圧測定実験家屋において,6枚の瓦の表面の12点に作用する風圧と,野地裏18点に作用する風圧および屋根上の超音波風速計での風速の同時観測を実施した。 3.境界層風洞において,陸屋根上の屋根葺き材の飛散実験を実施した。 以上の観測および実験により,以下の成果が得られた。 1.自然風中での風圧の特性には、風向変動が非常に大きな影響を及ぼす。したがって,自然風中での観測データの整理には,ある評価時間の風向ごとにデータを区分して整理する方法が非常に有効である。 2.高層建築物模型の場合,データの評価時間は実時間にして3秒程度が適当である。各データを3秒ごとに区分し,その風向及び風速を用いることによって,自然風中でも有効な風圧係数を定義することが可能である。このことは,自然風中の現象を風洞実験と対応させるには、風洞実験においても,従来行われてきたように,10分間相当の時間を評価時間として,風圧係数などを評価するべきではなく,自然風中と同様にデータを実時間3秒間相当で区分けして,3秒平均の風向と風速によって処理をしなければならないことを意味している。 3.瓦の飛散原因となる大きな揚力は,強風災害の観測で見られるように,風上側の屋根面の軒にほぼ直角に風が当たる場合に生じる。飛散原因となる瞬間最大揚力の発生機構は,次の3つである。瓦の表側に作用する圧力のみが急激に低下する場合。裏側の圧力のみが上昇する場合。表側が低下し,裏側の圧力が上昇する場合である。 4.軒から空気が野地板に進入する場合には,瓦の表面の圧力低下が原因で非常には大きな揚力が作用するが,軒からの空気の進入を防ぐことによって,表面の圧力低下とともに裏面の圧力も低下させてることが可能となり,瓦に作用する揚力を低減することが可能である。
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