研究分担者 |
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10111981)
荒木 時彦 京都大学, 防災研究所, 助手 (60335221)
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00190570)
西村 宏昭 財)日本建築総合試験所, 耐風試験室, 室長(研究職)
奥田 泰雄 独立行政法人, 建築研究所, 上席研究員 (70201994)
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研究概要 |
潮岬風力実験所及び境界層風洞において以下の観測と実験を実施した。 1.前年度に引き続き,高層建築物模型の壁面で風圧観測を実施するとともに,その1/10縮尺模型を使って風洞実験を実施した。 2.前年度に引き続き,実験家屋において,瓦の表裏面に作用する風圧変動の観測を行った。前年度の観測との違いは,(イ)軒先のシールが瓦に作用する風圧力に及ぼす効果を調べた,(ロ)実験家屋の風上に超音波風速計を設置し,接近流の風速変動と瓦に作用する風圧変動との関係を調べた,(ハ)軒先瓦に作用する風圧力を測定し,瓦の位置による風圧力の違いを調べた,ことである。 3.屋根葺き材の飛散原因を解明するため,葺き材の表裏の風圧変動を測定し,前年度に行った飛散実験と比較した。 4.ダブルスキンに作用する風圧力に関する風洞実験を行った。 以上の観測および実験により,以下の成果が得られた。 1.自然風中での風圧は,自然風の変動に基づく準定常成分と,建物周りの流形形成に伴う成分の和として表わされる。自然風の風圧変動は,風洞実験で後者の流形形成成分を求め,これと自然風の変動に基づく成分とを組み合わすことで評価できる。 2.軒先をシールした場合,瓦の裏面の圧力上昇が押さえられ,瓦に作用する揚力は減少する。軒先付近の瓦には,瓦表面に作用する負圧のために大きな揚力が作用し,ピーク揚力係数は6程度に達する。 3.葺き材の飛散は,葺き材の表裏の風圧力のアンバランスによって生じる。葺き材の裏面を空気が通る構造では,葺き材全体の裏面の圧力が一様になり,軒に近い葺き材の表裏で大きな圧力のアンバランスが生じ,葺き材が飛散する。 4.全層換気ダブルスキンでは,サイドを閉じことがダブルスキンに作用する風圧力を低減する上で極めて重要である。また,ダブルスキン間の圧力は,開口部の圧力の平均となるので,開口部位置を変化することによりダブルスキンに作用する風圧力を制御できる。
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