研究分担者 |
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10111981)
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60263159)
谷口 徹郎 大阪市立大学, 工学研究科, 講師 (30231418)
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (90325481)
荒木 時彦 京都大学, 防災研究所, 助手 (60335221)
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研究概要 |
市街地における低層建物に加わる地面付近の自然風の乱流性状に関して,大阪市舞州における観測結果をもとに,非定常空気力と接近流との関係を明らかにした。これによると,建物に加わる変動風圧力は建物の上流側・建物の高さと同程度の距離における接近風の変動特性と相関が高いことがわかった。これは,耐風設計を行う上で重要となる設計用風荷重を予測するために,強風時の地面付近における自然風の乱流性状を正確に予測することが重要であることを意味する。このため,強風時,特に台風接近時の地面付近の強風の乱流特性に関して,メソスケールの気象解析・予測のために開発されたPSU/NCAR MM5モデルを用いて,実際の台風時の広域的な風況場のシミュレーション手法に関する検討を行い,台風時の観測結果との比較により,ある程度の予測が可能であることを確かめた。また,市街地における接地境界層内の乱流特性が地表面粗度形状によりどのように変化するかをk-ε乱流モデルを用いて明らかにするとともに,地表面粗度をモデル化したLESによる数値シミュレーション手法を新しく提案し,非定常乱流場の再現が可能であることを風洞実験により確かめた。 一方,研究期間中に接近した台風の強風による被害調査も行い,低層建物の強風災害特性を明らかにした。それによると,建物が全壊するような重大な被害は減少する傾向にあるが,屋根や外壁材などは依然として被害を受けており,また,飛散物による建物の二次被害や,人的被害も少なくないことが明らかとなった。 これらの結果より,低層建物では,接近流の乱流特性の正確な予測と,瓦などの外装材が飛散しないような耐風設計を行うことが重要であること.また,市街地などにおける気流性状を正確に予測することが重要であることが結論づけられ,台風強風時の気流性状を予測する数値的な手法を提案した.
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