家庭用燃料電池のための高密度排熱貯蔵・高効率熱利用システムの開発に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350309
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 長野 克則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208032)
• 研究分担者: 濱田 靖弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40280846) ; 窪田 英樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90002930) ; 持田 徹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40002050) ; 林 謙年 JFE(株), NKKエンジニアリング研究所, 主任研究員
• キーワード: 潜熱蓄熱 / PCM / 相変化 / 蓄熱 / 燃料電池 / 廃熱 / 耐久性 / 給湯

研究概要

本研究は、硝酸マグネシウム6水和物と塩化マグネシウム6水和物の混合物を用いて、家庭用燃料電池や都市廃熱、さらには自然エネルギーを高密度に貯蔵して、高効率に熱利用するシステムの開発を行うことを目的としている。
本年度はまず第1に従来試薬ベースで行っていた蓄熱材の各種試験を工業品ベースで行い、10wt%,20wt%,30wt%,40wt%の4種類の混合物について熱利用の評価に欠かせない温度とエンタルビーの関係を小型熱応答試験装置により求めた.同時に、混合物の密度、粘性係数などの基礎物性値の測定を行った。一方、実使用評価には欠かせない1000回までの繰り返しに対する耐久性試験を行い、相変化温度、相変化熱から判断して、問題がないことを明らかにした。さらに、100℃、30日間の腐食性の試験を行い、SUS316、アルミニウムに対して腐食性がほとんど無いことを明らかにした。
また、高密度排熱貯蔵・高効率熱利用システムについては、蓄熱・熱回収に関する基礎実験を行い、そのときの熱移動係数を明らかにすると共に、本混合物を用いた蓄熱・熱回収に関する数値シミュレーションプログラムを開発して、実測で得られた熱移動係数を用いて都市排熱利用地域熱熱供給施設に本蓄熱材を適用した場合の負荷平準化効果および省エネルギー性について検討を行った。
一方、潜熱・顕熱ハイブリッド蓄熱システムを提案し、これを高性能真空管式太陽熱集熱器と組み合わせた場合の民生用給湯システムの開発を行った。まずシステム解析数値シミュレーターを構築し、適用地域によって異なる最適容量・相変化温度を検討した。次に、札幌に適した蓄熱温度・蓄熱容量に従い、実システムを北海道大学工学部環境工学科屋上に設置し、2003年2月より実測を始めた。

研究成果

• [文献書誌] 長野克則, 小川健次, 持田徹, 嶋倉一實, 林謙年, 生越英雅: "都市廃熱活用のための相変化蓄熱材の開発と熱特性に関する実験的検討"空気調和・衛生工学会論文集. No.87. 51-60 (2002)
• [文献書誌] 長野克則, 小川健次, 持田徹, 嶋倉一實, 生越英雅, 林謙年: "都市排熱活用のための相変化蓄熱材利用システムの開発 その3 蓄熱槽内おけるPCMの熱移動係数"空気調和・衛生工学会北海道支部 学術講演会学術講演論文集. 37. 53-56 (2003)
• [文献書誌] 長野克則, 小川健次, 橋本崇史, 持田徹, 嶋倉一實, 真賀幸八, 岡本淳, 生越英雅, 林謙年: "高性能太陽熱集熱器と潜熱・顕熱蓄熱を有する給湯システムの開発 その1 システムの概要と冬期集熱実験"空気調和・衛生工学会北海道支部 学術講演会学術講演論文集. 37. 41-44 (2003)
• [文献書誌] 長野克則, 小川健次, 橋本崇史, 持田徹, 嶋倉一實, 真賀幸八, 岡本淳, 生越英雅, 林謙年: "高性能太陽熱集熱器と潜熱・頭熱蓄熱を有する給湯システムの開発 その2 システム設計支援ツールの開発と日本全国におけるシステム提案"空気調和・衛生工学会北海道支部 学術講演会学術講演論文集. 37. 57-60 (2003)