研究分担者 |
垣鍔 直 足利工業大学, 工学部, 教授 (30259874)
堀越 哲美 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (80144210)
桑原 浩平 名古屋工業大学, ながれ領域, 特別研究員
窪田 英樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90002930)
松原 斎樹 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (80165860)
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研究概要 |
平成15年度は,平成14年度に行った実験の続きを遂行すると共に,温冷感の度合を表示する重要な状態変数である平均皮膚温の基礎的検討を行い,平成14,15年に採取したデータの総合分析をして,現在,世界の2大指標として多用されているISO-7730(PMV)やSET^*の欠点を越えた,より人体の温熱生理・心理状態に合う温熱指標の原型を提案することを最大の目標とした。まず,平均皮膚温およびぬれ面積率と心理量の関係を,熱伝達論および人体の温熱生理特性から検討し,椅座の被験者実験の結果から,新しい温冷感の評価法を提案した(持田・桑原・窪田・長野)。次に,名古屋の屋外空間にて被験者実験を行い,日射の影響を考慮して修正したSET^*が名古屋のような暑熱地域においても適用可能であることを確認すると共に,札幌・名古屋の温冷感・快適感申告データから,SET^*の温冷感中立域・快適域を決定した(桑原・堀越・持田)。なお,ISO-7730のPMV指標は,実質的に蒸汗放熱を評価できない構造となっており,暑熱環境での使用はできない。また,暑熱環境に曝露された際の着衣を介しての放熱過程を定量的に評価するための実験を行った。実験結果から,暑熱曝露の10分後には着衣内気候は水蒸気で飽和し,発汗は時間遅れなく着衣に吸収することが確認された。着衣に吸収された汗は,約10分前後の時間遅れで着衣面から蒸発することを確認した(垣鍔)。さらに,人体と環境との対流熱交換量を正確に算定するために,対流に関与しない面積(非対流伝熱面積)の実測を行った。実測した全体表面積から非対流伝熱面積を差し引いて対流伝熱面積を求めた。非対流伝熱面積を考慮した平均皮膚温算出のための重み係数を求め,Hardy-DuBoisの重み係数と比較したところ,躯幹部や末梢部の手部・足部の重みは小さく,頭部や四肢部の腕部・大腿部・下腿部は大きな値となった(松原)。
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