建築内外を包括した熱環境の実設計対応型・予測評価ツールの開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350313
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 梅干野 晁 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50108213)
• 研究分担者: 山村 真司 (株)日建設計, 監理部, 研究員 ; 飯野 秋成 新潟工科大学, 建築学科, 助教授 (80272706)
• キーワード: 熱環境 / シミュレーション / 建築内外 / 蒸発冷却 / 風環境 / CFD / 3D-CAD / 設計支援

研究概要

本年度は、シミュレーションツールへの蒸発冷却モデルの組み込みや建築内外の風環境のモデリングに関する検討を行ったうえ、3D-CADソフトウエアを用いた実設計対応型ツールへと大幅な進展・改良を行った。
1.透水性舗装や保水性舗装など、蒸発冷却を伴う舗装体の熱・水収支のモデル化を行い、全表面熱収支シミュレーションに組み込んだ。熱・水収支に関するパラメータを含水率の関数とすることにより、実用的に熱・水収支を解析する手法を開発した。開発した手法を街路空間に適用した結果、沿道建物や樹木の量・配置といった空間形態と舗装体の保水性能の組み合わせにより蒸発冷却効果が大きく異なることを示し、モデルの有効性を確認した。
2.建築内外の風環境のモデリングに資するデータを取得することを目的とし、海浜埋立地の住宅地開発を対象に、建築内外の風環境の実態把握を行った。開発前段階における通年の実測調査とCFD解析により、開発地内の風系に周辺建築物が及ぼす影響を明らかにした。住宅地の開発状況と屋外空間の風環境との関連を実測調査により把握したうえ、特定の住戸を対象に屋外空間の風環境が室内通風に及ぼす影響を明らかにした。
3.実設計対応型ツールへと進展させるべく、熱収支シミュレーションツールをPC上で動作するようにし、プリポスト処理部分を大幅に改良した。汎用PC版の3D-CADソフトにおいて描かれる様々なレベルのCAD図面を自動的に伝熱質点系モデルに変換し、熱収支解析を行えるようにした。さらに表面温度算出結果を、CAD上にテクスチャマッピングし、視覚的に出力する手法を開発した。

研究成果

• [文献書誌] 浅輪貴史, 梅干野晁: "屋外の空間形態と構成材料を考慮した建築伝熱シミュレーションモデルの開発"日本建築学会環境系論文集. 578(掲載予定). (2004)
• [文献書誌] 挾間貴雅, 梅干野晁, 浅輪貴史, 清水敬示: "計画地全体における風環境の季節変化 住宅地開発における環境変容の計量化と環境共生評価 その2"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). D-1. 615-616 (2003)
• [文献書誌] Akira HOYANO, Kazuaki NAKAOOKUBO, Takashi ASAWA, Shinji YAMAMURA: "Development of a Simulation System for Bioclimatic Design Using 3D-CAD -Prediction of the Surface Temperature Distribution and Thermal Radiant Field in Outdoor Spaces"Proceedings of ICUC-5 (Fifth International Conference on Urban Climate). (2003)
• [文献書誌] Takashi ASAWA, Akira HOYANO, Hideyuki TAKEZAWA, Keiji SHIMIZU: "Field Measurement of Outdoor Microclimates in a Residential Area Having Leafy Canopy in Seasonally Hot and Humid Climate"Proceedings of ICUC-5 (Fifth International Conference on Urban Climate). (2003)
• [文献書誌] Takashi ASAWA, Akira HOYANO, Kazuaki NAKAOOKUBO: "Creating Thermally Comfortable Outdoor Environment in Tropical Monsoon Regions -Based on a Numerical Simulation Tool Using 3D-CAD"Proceeding of iNTA (1^<st> International Tropical Architecture Conference). (2004)