研究概要 |
本研究では,南九州地域の気候特性に適応した環境共生住宅の提案を目指し,利用可能な環境共生手法の整理と効果の検証を行っている.本年度に得られた研究成果を以下にまとめる. ・環境共生住宅の基本性能確保に必要な断熱・気密工法について検討し,既存実験住宅を,壁体内通気層を備えた外張り断熱気密住宅に改修した.その結果,外張り工法の施工優位性や気密施工上の指計が得られた.次年度以降は,実験住宅を用いて,庇による日射遮蔽,通風牲能に関する実測を行う. ・小屋裏空間の換気方法と断熱部位について実験住宅で検討を行った結果,外張り断熱では小屋裏自然換気が有効に機能することを明らかにした. ・住宅の湿気環境改善を目的として,珪藻土パネルの吸放湿性能に関する長期測定・シミュレーションを行い,気乾状態において含湿性が低い結果,調湿性が高いことを明らかにした. ・簾や壁面色の改変による日射遮蔽性能について模型実験を行った結果,簾・白色塗料が建物外皮の日射遮蔽に有効であることを確認した.また簾が冬期の夜間放射遮蔽効果を有していることを明らかにした. ・拡張アメダス気象データを用いた太陽光発電量シミュレーションにより,九州地域における太陽光発電賦存量マップを作成した.また九州各地において住宅屋根面に設置する場合の設置角度に関する検討を行った.その結果,一般的な屋根勾配に取りつけることで最大発電量の95%程度の発電量が得られることを示した. ・新築戸建住宅を対象に換気による化学物質濃度低減効果について検証し,竣工後1ヶ月程度強制換気を行うことにより,室内空気質の改善が可能であることを確認した. ・九州地域の気候特性,環境共生手法および住宅のエネルギー消費特性について整理を行い,居住者を対象としたパンフレットを作成した.
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