研究分担者 |
福島 寛和 独立法人建築研究所, 環境研究グループ, 上席研究員 (20370695)
冨田 隆太 日本大学, 理工学部, 助手 (40339255)
橋本 修 日本大学, 理工学部, 講師 (00218405)
吉村 純一 財団法人小林理学研究所, 建築音響第2研究室, 室長(研究職) (00142050)
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研究概要 |
当初の研究計画書に基づき2年間に渡り,(1)住宅購入者(消費者)の要求内容の実態,(2)住宅供給者の住宅性能に関する意識と消費者への説明方法・内容,(3)住宅居住者の空間性能(特に音環境性能)の捕らえ方と表現方法の3つのテーマについて調査研究を実施した。なお,各調査で対象とした被験者数は,(1):356票(直接面接方式),(2):広告・パンフレット174物件,営業担当者:59物件(直接面接方式),(3):総戸数1268戸,得票数326票(留置・直接面接)である。 初年度(平成14年度)は,これらの(1),(2)のテーマを重点的に研究し,住宅購入者の要求として「音環境性能」が第一位(98%の指摘率)を占め,その内訳として「上階からの音」として特に足音系騒音に関する指摘が多いことが明らかとなった。また住宅購入者の音環境に関する知識は非常に低く,言葉や用語に関する知識すら非常に低いことを問題点として指摘した。次に住宅供給者を対象とした研究結果では,住宅販売用パンフレットは勿論,モデルルームでの営業担当者ですら音環境に関する知識不足が明らかとなり,消費者への情報提供が決定的に不足していることが明らかとなった。なお,この研究成果は平成15年度日本建築学会大会(平成15年9月)に3編の論文として報告済である。 次年度(平成15年度)は,上記(3)のテーマに対し東京近県及び地方(愛媛県)において新築年度の異なる9物件を対象に,日常生活で体験する住宅の音響性能の表現方法と既往の表現内容の対応について検討した。その結果,現在表されている生活実感としての表現方法は,長期居住者の反応に必ずしもマッチせず,聞こえ方や問題意識による表現に「程度を表す修飾語」を添えた方が良いことが明らかとなった。また,住宅の遮音性能の程度により,空間性能を高めるために「住まい方」の提案をすることができた。今後,これらの成果は学会等へ報告し,従来の表現方法・内容の改訂案として提案してゆく予定である。
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