多層ゾーン煙流動予測コンピュータモデルの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350321
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 田中 哮義 京都大学, 防災研究所, 教授 (70293959)
• 研究分担者: 鈴木 圭一 清水建設株式会社, 技術研究所, 研究員 ; 渡邉 純一 松下電工株式会社, 品質部解析評価技術センター, 主任 ; 原田 和典 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90198911)
• キーワード: 多層ゾーンモデル / 火災性状 / 煙挙動予測 / 温度分布 / 火災プリューム / 開口噴流プリューム / 天井ジェット

研究概要

単室を対象として構築した多層ゾーンモデルを既往の単室実大火災実験の結果と比較した。この結果開口がドアのように空間の下方につく場合には、火災室内の温度分布がほぼ妥当に予測されることがわかった。一方、開口が空間の高い位置に儲けられる窓のようなタイプの場合には、モデルは下部層の温度を実験より低く予測した。これは窓開口から流入した空気がネガティブプリュームとなって下降する際の高温ガスの連行を無視しているためと考えられた。
そこで、開口噴流プリュームの挙動に関して、質量、運動量および熱エネルギーの保存関係から、その温度、気流軸の軌跡、連行空気流量を数値的に計算出来る式を導いた。これは、開口噴流の温度が噴出先の周囲空気より高い場合、低い場合および温度差が無い場合も一般的に扱えるモデルであり、従ってネガティブプリュームの挙動予測も含まれている。この結果、既往の単室火災実験結果との一致が大幅に改善された。
また火災プリュームが天井に衝突して出来る天井ジェット内の煙濃度の予測手法について、以前に行った温度予測の結果等を踏まえて検討し、予測理論を構築した。これを実大火災実験施設を用いた単室の初期火災に関する実大実験による結果との比較で検証した結果、満足な一致が得られることが解った。

研究成果

• [文献書誌] Suzuki, K., Harada, K., Tanaka, T.: "A Multi-Layer Zone Model for Predicting Fire Behavior in a Single Room"Fire Safety Science, Proc. of the 7th Int'l Symposium. Vol 7. (2002)
• [文献書誌] Watanabe, J., Shimomura, S., Aoyama, Y., Tanaka, T.: "A Formula for Prediction of Ceiling Jet Temperature in Two Layer Environment"Fire Safety Science, Proc. of the 7th Int'l Symposium. Vol.7. (2002)
• [文献書誌] 鈴木圭一, 田中哮義, 原田和典: "多層ゾーンモデルによる区画火災性状"研究発表概要集 日本火災学会. 136-139 (2002)
• [文献書誌] 渡辺純一, 下村茂樹, 田中哮義: "二層環境下における天井流煙濃度予測に関する研究"研究発表概要集 日本火災学会. 280-283 (2002)
• [文献書誌] 鈴木圭一, 田中哮義, 原田和典: "多層ゾーンモデルによるトンネル火災性状予測"学術講演梗概集 日本建築学会. A-2. 93-94 (2002)
• [文献書誌] 田中哮義, 山田茂: "建築研究振興協会"BRI2002二層ゾーン建物内煙流動予測計算プログラム. 130 (2003)