当初の研究計画は以下のようであった。 A マレーシアについて、都市住居モデル、住宅地モデルをまとめる。高層モデル、マラッカ、ペナンなどのショップハウス・モデルなどが考えられる。B 現地調査としては、バンコクのラッタナコシン島を考える。ショップハウスの存続がひとつのテーマとなる。C タイ都市の街区組織と住宅類型に関してまとめたい。特に、アユタヤ、スコータイ、チェンマイの街区組織について議論が残されている。文献収集は、イギリスのSOAS、RIBA図書館などで行う。D 「環境共生」技術については、AITなど研究機関の近年の展開を纏めたい。 Aについては、基本計画レヴェルであるが、いくつかのモデルを考案した。インドネシア・モデルが低中層モデルなので、また、ケン・ヤーンの実例を基にして、思い切った高層モデルを中心とした。 Bのラッタナコシン地区のショップハウス調査は終了し、パタニ、アユタヤについて調査を拡大した(C)。タイでは、ショップハウスが全土で一般化しており、連棟式のモデルを第一に考えることになる。SOAS、RIBAなどへの資料収集は行えなかったが、居住地モデルの原点を探るべく、スラバヤ・エコ・ハウスの現状把握を兼ねてインドネシアのバリ島について詳細調査を展開した。具体的に集中したのは、ギアニャールである。インドネシア、ジャワ・バリ都市の街区組織の原型をある程度明らかにし得たと考えている。 東南アジアのエコ・ハウス・モデルについては、本研究の目的と極めて近いかたちで、小嶋一浩(シーラカンス)らによるヴェトナムでの実験住宅が試みられた。今後比較検討したい。最終年度において、大陸部を扱う予定であったが、ヴェトナムの他ビルマなどに関する調査を一年早めることを考えつつある。
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