研究課題
基盤研究(B)
本研究は、発展途上地域の大都市における居住地モデルを開発、提案することを目的としている。具体的に焦点を当て研究対象とするのは湿潤熱帯(東南アジア)の大都市であり、それぞれの気候風土に相応しい居住地を構成する都市型住居モデルとそれによって構成される住宅地モデルの開発が主題である。日本においては、発展途上地域の居住地モデル、都市型住宅モデルについての研究が極めて少ない。また、発展途上国においても、必ずしも、独自の住宅地モデルを開発しようという動きは希薄である。一般的に理想とされているのは先進国モデルである。また、「環境共生」技術、「環境共生」建築というテーマは、今のところ、寒冷地域のみで問題にされ、熱帯についてはほとんど等閑視されているように思われる。本研究の大きな目的は、湿潤熱帯の気候に相応しい、パッシブ技術を基本とする「環境共生」型の住居(エコハウス)モデルおよび住宅地(エコタウン)モデルを開発することが大きな目的である。前提とするのは、地域産材の利用(ココナツの繊維を断熱材に用いた)、輻射冷房のための井水の利用、太陽電池など様々な「環境共生」技術を導入する実験住宅「スラバヤ・エコ・ハウス」である。スラバヤ・エコ・ハウスは、計画住宅地(集合住宅団地)の一単位としてのひとつの解答であるが、都市構成の単位として考えた場合、必ずしも一般性をもつとは限らない。住宅地の形態とその構成単位は多様でありうる。要するに、問題は、住居集合の単位であり、その集合の形式である。住居そのものとは別に住居が集合する形式が問題である。本研究では、まず、どのような立地で、どのような住居類型を開発すべきかを明らかにした。続いて、それぞれの都市について、利用可能な「環境共生」技術を収集検討し、体系化を試みた。地域の生態系に基づいて建設されてきた住居の技術の集大成を基礎とし、現代的に利用可能な素材、技術を明らかにした。さらに第三段階として、次のステップにおいては、最も実現性が高く、影響力が想定できるケースについて実験住宅を建設し、具体化の道をさぐりたい。本研究は、アジア各都市における都市組織(urban tissue)あるいは都市住居類型についての研究を前提としている。西欧にモデルを求めるのではなく、アジアにもある多様な都市住居の伝統を明らかにし、その基礎の上に新たなモデルを構築しようとするのがひとつの特徴である。また、「スラバヤ・エコ・ハウス」という極めて具体的な実験住宅を建設した経験をもち、それを住宅地レヴェルに展開しようとするところにオリジナリティがある。アジアの各大都市で求められているのは、生態学的に自立循環する単位としての住宅地モデルである。
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