日本、イギリス、スウェーデン、ベルギーにおいて、病弱教育施設Hospital School、子ども病院、行政機関等を対象に実態調査を実施した結果をまとめる。 小児病棟があるすべての病院に、病弱教育施設を設置し効果的に運営するためには、つぎの課題がある。 ・病院長の就学機会確保義務の法的根拠が未整備であるので整備すること。 ・ホームスクール(原籍校)に学籍維持の法的根拠を整備し、転校しなくても病院における子どもたちが教育を受けられるようにする。ホームスクールが入院する子どもの教育に責任をもち、病弱教育施設はそれを柔軟にサポートできるように広域調整型設置運営形態等について検討する必要性は高い。 ・就学前教育・保育・学童保育・あそび環境と学習環境を統合したチャイルドセンターを設置し、施設設備の有効利用を図ることは望ましい。 ・病院における子どもたちは、フォーマルな学習のみならず、様々な病気や診療等の経験に基づく学習によって、ネガティヴになりがちな経験をポジティヴな方向に活性化する専門的・個別的教育支援をもとめている。病院環境や病院の日常業務に慣れ、治療に関する理解促進のために、Hospital Oriented Learningに取り組む必要性は高い。 小中学校内に設置する病弱・虚弱特殊学級については、最近、増設する府県が目立つが、未設置県も少なくない。また、精神科の病院に、情緒障害学級を院内学級として整備する事例にみるように、教育の専門性を重視し、医療との連携を深めた新たな病弱教育施設の設置・運営について今後検討する必要性は高い。
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