(1)首里王都の外交・宴遊施設として有名な東苑とその八景について検討した成果を学術論文にまとめた(2003年10月出版)。 (2)北宋の画家宋迪の「漏瀟八景」を原点とする<八景>と、南宋の五山禅院において発展した<十境>が琉球においてどのように展開したか、について検討した成果を学術論文「琉球の八景について」にまとめ、投稿した(2004年4月出版予定)。 (3)昨年度に引き続き、<十境>の琉球への伝来、受容などの過程、そして琉球の禅宗伽藍の内外にあるどのような自然や人工の景物に佳名が付与され、<境致>となされたのか。「円覚寺八景(八境)」や「同楽苑八景(八境)」などの実態を使琉球録や漢詩集などによって検討し、「同楽苑八景」について学術論文を作成、投稿した(2004年4月出版予定)。 (4)昨年度、中華人民共和国における調査で従来存在の知られていなかった史料、徐葆光『奉使琉球詩』の版本を発見し、2003年12月、研究協力者(博士課程留学生)が中華人民共和国で日本語による訳注を付して徐葆光『海舶集』として出版した。また蔡文溥『四本堂詩文集』の初版本を見いだすために、上海やパリの図書館などで史料調査を行ったが、その存在を確認するには至らなかった。 (5)前近代においても、また近代においても<八景>の一つに選ばれた那覇・波上の地は、自然と歴史と文化と宗教が重層する興味深い場所である。史料に即して波上の場所の歴史を再構成し、その特質を明らかにするために広く那覇に関する史料収集調査を行い、収集史料の整理を終了した。 (6)参考文献・資料・史料・指図・絵画史料・地図の収集とデータ入力を行い、研究支援データベースの構築を進めた。
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