研究概要 |
低温でイオン注入した化合物半導体表面に,特異な欠陥構造が形成される.無数の小さな穴が蜂の巣のようにできる.穴の直径は50nm深さは250nmである.この現象について,2003年度より研究をすすめ,2004年度では以下の成果を得た. [微細構造の形成] FIBで初期構造を等間隔でスポットで配置した。使用したFIBの加速電圧は50keV、イオン種はGa^+である。FIBはMicrion 9500 FIBを用いた。間隔は最小50nmのものまで作製することができる。またドーズ量は10^<10>〜10^<15> ions/cm^2まで任意に制御できる。初期構造を作製した後、FIB内で画像観察スキャン(室温で50 kV Gaイオンを一様に照射したことに相当する)し、スキャン前と比較した。そ初期構造をつくったときのドーズ量が1×10^<13> ions/cm^2以上のマトリックスについては、規則性はこわされず、像のコントラストから判断する限り、セル構造は深くなっているものと判断される。注入量が3×10^<12> ions/cm^2以下のものについては、初期構造そのものがまったく観察されず、スキャン後の表面モフォロジーは初期構造なしの領域と同様である。この結果は規則的な初期構造さえ与えられれば、その後室温のイオン注入でも規則的な表面セル構造が形成されることを示している。 [新しい系の探索] FIBによる予備的実験により,GeおよびInAsに同様現象の生じる可能性を見出した.基板温度を変えたイオン注入を行って,GeにもGaSbと類似した現象の生じることを見出した.
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