これまで酸化物エピタキシャル(単結晶性)薄膜の合成は、およそ500℃以上で行う必要があり、他の材料との積層や接合を形成するには、相当複雑なプロセスを経る必要性があった。そこで本研究では、異種材料界面での乱れの低減と他の機能材料との組合せ方の増加による新しい機能デバイスの構築をめざした。すなわち、酸化物の原子層制御を可能にするレーザーMBEプロセスに電子ビーム照射等を新たに加え、サファイア(単結晶アルミナ:α-A12O3)などのワイドギャップ酸化物薄膜の室温合成プロセスの基盤技術の確立に焦点をあてて研究を行った。その結果、本研究で開発した電子励起室温エピタキシー技術により、サファイア基板上にマイクロウォールやマイクログルーブといった、ナノレベルで高さを制御した微細加工プロセスを確立し、それを使ったケミカルチップ用の基盤を作製することができた。これらのサファイア基板上マイクロパターンは、サファイアの持つ高い化学的耐久性や透明性から、集積ミクロ化学ファクトリーやバイオセンサー、光電子デバイスなどの分野への応用が期待される。
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