研究課題/領域番号 |
14350355
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
和田 昇 東洋大学, 工学部, 教授 (40256772)
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研究分担者 |
花尻 達郎 東洋大学, 工学部, 助教授 (30266994)
鳥谷部 達 東洋大学, 工学部, 教授 (20266993)
石橋 幸治 理化学研究所, 専任研究員 (30211048)
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キーワード | 微小ギャップ半導体 / 量子ドット / ホットキャリヤー / 蛍光分光 / 近接場ナノフォトニクス / 量子細線 / InAs / InSb |
研究概要 |
バンドギャップエネルギーの小さいIII-V族半導体、InAsとInSbにおけるホットキャリヤーの挙動を探るため、フェムト秒Tiサファイヤーレーザを用いて、時間分解、空間分解の分光を行った。InAsの結晶サンプルからはStokesのみならずAnti-Stokesサイドからの非線形性の強い蛍光が観測された。これより、ホットルミネッセンスは単に高密度な-光子による電子の励起だけによるものだけではなく、二光子プロセスが大きく関わっていると考えられる。特に、Anti-Stokesサイドの蛍光強度にエネルギーの幅が一定な周期的なパターンが観測された。そのエネルギーの間隔はちょうどInAsのLOフォノンのエネルギーの2倍にあたり、二光子プロセスで励起されたホットエレクトロンがちょうど正反対の運動量を保つ二つのLOフォノンをはき出しながら、低エネルギー状態にカスケードしたとの結論に至った。 また、光学顕微鏡の使用により、蛍光の空間的分布も観測できた。実際の蛍光が発せられる場所はレーザスポットから10μmにも及び、伝導帯電子の平均自由行程300nmに比べて非常に大きいことが判明した。これは、ホットエレクトロンが通常の伝導電子に比べ速度が非常に大きく、拡散的ではなく、弾道的にInAs結晶内を移動しているということを示唆すると考えられる重要な実験結果と言える。また、レーザ強度に対し、蛍光強度は非線形的に大幅に増大し、さらに、蛍光の発する空間的範囲が増大することが観測された。 さらに、真空の石英管内で気相法を用いて比較的簡単にInAsやInSbの量子ドットや量子細線を作成できることを見いだした。InAsやInSbの量子ドット・量子細線を形成し、量子化されたホットエレクトロンからの蛍光分光も行うことは、基礎学問的にも応用の面からも興味深く、今後の課題としたい。
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