研究概要 |
気相輸送法を応用した独自の方法を用いて配向性酸化亜鉛結晶を合成し,これを基板とした酸化物半導体デバイスを作成した。これを用いて以下の3つの研究を展開した。 (1)酸化亜鉛はワイドギャップを持つn型半導体である。これに同じくワイドギャプを持つp型半導体であるSrCu_2O_2をスパッタリング法あるいはPLD法により積層した。この組み合わせはすでに薄膜の組み合わせにおいて発光ダイオード特性が観測されており,本研究でもそれが確認された。酸化亜鉛結晶を基板とすることは特性が異なる酸化亜鉛の各種面を使用できるというメリットがあり,本研究ではO面を利用することが特に優れた特性を持つことを確認した。これをさらに化学センサー特性の検討へと発展させている。 (2)酸化亜鉛結晶にリチウムを添加することにより絶縁化し,これを基板とするELデバイスの試作を行った。発光体にはマンガンを添加したZn_2SiO_4をスパッタリング法により積層した。この時,酸化亜鉛は圧電体であり,交流電界印加により発生する機械的振動と発光特性の関係を検討することがここでの目的である。デバイスの各要素の作成法に関しての検討を完了した。 (3)酸化亜鉛結晶における面と水酸基吸着状態との関係を調べた。酸化亜鉛表面に水酸基が吸着すると面表面に電位障壁を作り,特性を大きく変化させてしまう。XPSによる検討の結果,Zn面での吸着が特に強く,O面,A面では強さ,量とも同程度であることがわかった。
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