研究課題/領域番号 |
14350358
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
香川 豊 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50152591)
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研究分担者 |
本田 紘一 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80092328)
石川 敏弘 宇部興産(株)研究所, 機能材第一研究部, 研究部長(研究職)
朱 世杰 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60283032)
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キーワード | SiC繊維 / SiCマトリック / 複合材料 / 損傷 / 誘電率 / 破壊 / 電磁波 |
研究概要 |
平成13年度に導入した装置に改良を加え、誘電特性を周波数範囲にして20〜40GHzで求めることができる非接触電磁波照射が可能なフリースペース法による誘電特性測定装置を完成させた。この装置を引っ張り試験装置と組合せ、引っ張り試験時の誘電特性の変化をその場測定できるようにした。実験には、SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料(以後、SiC/SiCとする)を用い、力学負荷による損傷評価ならびに、損傷量を複合材料の誘電特性を用いて評価できるかを検討した。まず、SiC/SiCの引っ張り試験を行い、試験時の応力-ひずみ曲線から、損傷を定量的に評価することのできる損傷パラメータを決定した。複合材料の残留弾性特性と誘電特性の相関性を表す構成式を決定した。同時に誘電特性の変化も測定し、損傷パラメータと誘電特性の関係も求めた。 SiC/SiC中に蓄積される損傷量が多くなればなるほど誘電特性の一つである誘電率は低下した。複合材料の破壊状況のミクロ観察結果から誘電率の低下はSiC/SiC中に生じたミクロクラックによるものであると考えられた。損傷の程度を示す損傷パラメータも材料中でミクロクラックが発生すると大きくなることが確認された。これらの結果より、複合材料に蓄積されたミクロクラックの量は誘電特性を用いて定量的に評価できることが明らかになった。 複合材料の実使用環境では、本年度行ったような力学的損傷に加えて酸化などの化学的損傷も生じる。本年度は、高温・大気中で加熱保持したSiC/SiCの酸化を力学損傷と同様な方法で検出できるかを調べる予備実験も行った。その結果、酸化のような化学的損傷に対しても有効な方法であることが確認された。これらの結果をもとに、H15年度には、力学損傷と化学損傷が同時に生じる場合の検出と損傷パラメータへの化学損傷の導入を計画している。
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