種々の損傷を導入した繊維強化セラミックスの誘電特性を測定し、損傷パラメータを求め、残留強度を推定するシステムを構築することを目標とした。まず、周波数範囲が20-40GHz帯で、複合材料の誘電特性を非接触で測定するために、誘電体アンテナ、ネットワークアナライザーからなるフリースペース法による測定が可能な装置を完成させた。この装置を引っ張り試験時にその場測定が可能になるように取り付けた。この装置を用いて、SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料の引っ張り試験時の誘電特性の変化を求めた。SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料の引っ張り負荷による損傷パラメータと残存強度を誘電特性の関数として非接触・非破壊で求め、マスター曲線を作成した。任意損傷(負荷)を加えた損傷が未知のSiC繊維強化SiCマトリックス複合材料の誘電特性を測定し、残存強度の測定を通して、損傷量の推定が可能となった。力学負荷単体による損傷とは別に、実使用環境下での物理、化学的損傷が重複した場合にも方法論を示した。SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料を強制的に酸化させた材料を用いて、酸化損傷の検出を試みた。誘電特性の変化から、酸化損傷を検出できることと、酸化の程度をも判定できることが明らかになった。これらの得られた結果を整理し、実機の大型構造体のままで、損傷量と残存強度の相関性を定量的に評価する手法への展開を考え汎用性のある手法として提案した。
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