研究課題/領域番号 |
14350374
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研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 英一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助教授 (40178710)
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研究分担者 |
佐藤 裕之 弘前大学, 工学部, 助教授 (10225998)
川端 健詞 東京大学, 大学院・工学系研究科, 日本学術振興会特別研究員
北薗 幸一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助手 (20321573)
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キーワード | 高温クリープ / 金属基複合材料 / 拡散緩和 / 塑性緩和 / 内部応力 / マイクロメカニックス / EBSP |
研究概要 |
金属材料の高温での強化法として、マトリクス中に第二相(強化相)を分散させる手法がある。分散強化合金と短繊維強化金属基複合材料はどちらもこのカテゴリーに属するが、その高温クリープ挙動は全く異なっている。これは、両相間の塑性ひずみ不一致が、前者では第二相周りの拡散(拡散緩和)、後者ではマトリクスの不均一なクリープ変形(塑性緩和)により解消されるという違いに由来する。しかしながら、現在実用化されつつある複合材料(例えばAl-Al_2O3,SiO_2(w,p))では、材料作製で混入する微細酸化物やクリープ中の界面剥離等により、見かけ上分散強化合金と同一のクリープ挙動が観察されている。 本研究では、微細酸化物を含まず、界面が強固で、測定可能な拡散緩和速度をもつモデル材料としてTi-TiB(w) in situ複合材料を作製し、低応力域では完全拡散緩和によるべき乗則クリープ、中間応力域では拡散緩和律速による線形クリープ、高応力域では塑性緩和律速によるべき乗則クリープという、ひずみ速度と応力のS字状関係を観察した。これは初めて2つの緩和プロセスによるクリープ挙動を検証したという点で画期的なものであると考える。 現在、第二相分散材料の高温クリープにおいて2つの緩和プロセスが働いている直接的証拠として、マトリクスの均一/不均一変形を直接観察する実験を進行中である。先程のTi-TiB(w) in situ複合材料を用いて、完全拡散緩和領域と塑性緩和律速領域で変形させた場合について、結晶格子の回転をEBSP法で測定した。どちらについても、マトリクスの結晶は粒子近傍でも回転していないと言う結果を得た。今後、試料表面に描いたけがき線の変形による回転を測定する。けがき線は結晶格子とは異なり、塑性緩和律速領域では回転すると期待される。これにより、2つの緩和プロセスが働いている直接的証拠を得る。
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