研究概要 |
超臨界水酸化処理環境における金属材料の腐食機構を解明し,有効な防食対策を確立するために,この環境で使用可能な照合電極の開発が必要とされている。本研究では,温度600℃,圧力80MPaまでの超臨界水中で使用できる圧力平衡型照合電極システムを開発,実用化することを目的として一連の検討を行い,以下のような成果を得た。 1.超臨界水中電気化学計測システムの作製: 高温高圧水中における照合電極の動作特性の評価,腐食電位および分極曲線測定のための計測システムを作製した。これはTiを内張したC-276製のオートクレーブと高圧送液ポンプから成る高温高圧水系,ならびにエレクトロメータ、ポテンショスタットおよびパーソナルコンピュータから成る計測・制御系から構成されている。 2.圧力平衡型外部照合電極の試作: 圧力平衡型外部照合電極を試作した。低密度の超臨界水と高密度の照合電極内部液との間の液絡を確実にするために,液絡部を亜臨界状態に設ける工夫を行った。また,照合電極の内部液(0.1M-KCl溶液)の圧力バランスをとるために,高圧ポンプを用いて内部液を加圧送液する方式を考案した。 3.試作した圧力平衡型外部照合電極の動作特性の評価: 試作した照合電極の動作特性を明らかにするために、被測定電極を(1)Ag/AgCl/xM-KCl(x=0.001〜1)および(2)Pt/1mM-HCl(水素飽和)とした時の電位差を測定した。350℃までの各温度での測定値を熱力学的計算値と比較した結果、試作した照合電極は熱力学的に正しく動作することが分かった。
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