研究概要 |
超臨界水酸化処理環境における金属材料の腐食機構を解明し,有効な防食対策を確立するために,この環境で使用可能な照合電極の開発が必要とされている。本研究では,温度600℃,圧力80MPaまでの超臨界水中で使用できる圧力平衡型照合電極システムを開発,実用化することを目的として一連の検討を行い,以下のような成果を得た。 1.圧力平衡型外部照合電極の改良 昨年度試作した電極の液絡方式では,試験溶液-液絡部間の温度差によって熱拡散電位が発生する。この熱拡散電位の発生を避け,電位補正項を少なくするために,液絡プラグを超臨界水中に設置した照合電極を試作した。低密度かつ高腐食性の超臨界水中で使用できる液絡プラグはまだないため,多孔質アルミナ,多孔質ジルコニア,アスベストなどを組み合わせた液絡プラグを作製して試験した結果,多孔質アルミナを用いると比較的良好な液絡ができることが分かった。 2.改良した圧力平衡型外部照合電極の動作特性の評価 改良した照合電極の動作特性を明らかにするために,被測定電極を(1)Ag/AgCl/xM-KCl(x=0.001〜1)および(2)Pt/1mM-HCl(水素飽和)とした時の電位差を測定した。各温度での測定値を熱力学的計算値と比較・検討した結果,熱拡散電位は非常に小さいが,液絡プラグ内での異種溶液の混合による液間電位差が無視できない大きさになることなどが分かった。
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