研究課題
基盤研究(B)
本提案の基礎として基礎研究を進めてきた、高精度な機能性マイクロ粒子(球形で厳密にサイズの揃った機能性粒子を10ミクロン-数100ミクロンの範囲で任意の均一粒径に制御できるプロセスを研究)をアセンブルすることにより、マイクロレベルの材料創製、組織制御を行う。高精度な機能性マイクロ粒子(球形で厳密にサイズの揃った機能性粒子)を10ミクロン〜数100ミクロンの範囲で任意の均一粒径に制御できるプロセスを検討、直径500ミクロンの、均質微細組織を持つ熱電材料マイクロ粒子(Bi-Sb系)の作製を試みた。500μmのオリフィスを用いた場合、Arガス雰囲気中で噴射した溶滴は凝固に至らなかったが、Heガス雰囲気週で噴射した場合、凝固し粒子を得ることができた。また、この熱電マイクロ粒子を制御配列することにより、規則的に制御された粒界構造を持つ配列体を作製し、その評価を行った。治具の上に1次元粒子配列を行い、銅線と銅版を用いて回路を組み、ハンディスポットウェルダーによって電圧をかけ焼結を行った。1次元粒子配列焼結体の熱電特性として、ゼーベック係数を測定した。ゼーベック係数評価用試料として、焼結体をアラルダイド樹脂に埋め込み表面に焼結体が現れるように研磨したものを準備した。(1×0.5×0.5の大きさ)評価のとき試料全体の熱量を計算に入れゼーベック係数を評価するため、寸法は正確にする必要がある。ゼーベック係数は温度差を加えて側定する。しかし焼結した粒子の列は非常に小さいので直接温度差ΔT加えるのは困難である。したがって温度差ΔTを加え、電圧Vhを測定し、αΔT=RIより求めた。αは、室温付近でΔT=10、20、30の3つの条件で測定しその平均値を求めた。これまでの報告では均質材のゼーベック係数は90μV/K程度であり、少し低い値となっている。ゼーベック係数に対する熱処理の効果は、ほとんど見られなかった。非熱処理試料の断面のBSE写真は、均質化してない粒子は樹枝状晶となっている事がわかった。熱処理した粒子を放電加熱焼結した試料の断面をみると、粒子内部は均質化されているが、ネック部分の組織は、放電加熱によって再び樹枝状晶になっている。放電加熱焼結前に均質化したとしても、焼結後には一部の組織が樹枝状晶に戻ってしまうので、ゼーベック係数があまり変わらなかったと思われる。焼結後に熱処理を施すという方法をとることによって、組織は均一なものとなり、熱電特性は向上すると考える。機能性微小粒子を規則的に配置することによって機能材料の創製が期待される。本研究では、熱電マイクロデバイスを取り上げ、熱電半導体の高精度な微小球形単分散粒子の作製、球形粒子の1次元配列と放電加熱焼結、および配列焼結体の熱電特性について実施したもので、3次元規則配列や傾斜構造化の研究も進んでおり、今後の展開が大いに期待される。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
粉体および粉末冶金 51-9
ページ: 646-654
Journal of the Japan Society of Powder and Powder Metallurgy 51,9